平素より大変お世話になっております。
トータルヘルスケアラボSORAの小西でございます。
このシリーズでは、アンチエイジング研究の第一人者であるピーター・アティア博士の研究をもとに、健康寿命を最大まで高める方法を「原則」から紐解いています。
前回は「寿命と健康を最大化する4つの身体資産」に焦点を当て、百歳でも健康に動ける体に不可欠な4大要素をご紹介しました。
そこで今回は、さらに一歩踏み込んで、具体的な運動プログラムをチェックしていきましょう。
その名も「センテナリアン・デカスロン(百歳五輪)」
これはアティア博士が考案したもので、一言で言えば「自分が90歳〜100歳になったとき、どんな動きができていたいか?」を逆算し、今から体を作り直そう!という至って普通の発想のプログラムです(笑)
一般的なフィットネス指南は「マラソン完走!」や「筋トレでボディメイク!」など、一つの軸に偏りがちです。
しかし、アティア博士は、本当の健康寿命を延ばしたいなら、以下の3つの要素をバランスよく鍛えるべきだと断言しています。
- 有酸素持久力(Zone 2)
- 筋力
- 安定性(スタビリティ)
これらは単なる体力作りの枠を超え、脳の老化、がん、糖尿病、心疾患の予防にも効くようにデザインされています。
「すでに自分なりの運動習慣がある」という方も、ぜひご自身のメニューの答え合わせとしてチェックしてみてください。
今回はその第1回として、すべての健康の土台となる「Zone 2 トレーニング」について詳しく解説します!
1. Zone 2 トレーニング:細胞の発電所「ミトコンドリア」を鍛えよう
Zone 2とは?
Zone 2とは、「軽く息が弾むくらいの有酸素運動」のことです。
体感としては、「会話は問題なくできるけれど、歌を歌うのは無理」という強度が目安になります。
この運動がなぜそれほど重要視されるのか?
それは、私たちの体内で以下のような驚くべきメリットをもたらすからです。
- ミトコンドリアが激増する(細胞レベルでの老化遅延)
- 脂肪が燃えやすくなる(メタボや糖尿病の予防)
- 認知症リスクが低下する(アルツハイマー病の予防)
- 脳のBDNF(神経成長因子)が分泌される(脳機能の改善・頭が冴える)
- 糖尿病を予防できる
- 心臓病を予防できる
つまり、単に「体重を落とすための運動」ではなく、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアを増やし、代謝と脳を若返らせることが最大の目的なのです。
2. どんな運動を、どれくらいやればいい?
「ミトコンドリアを増やせ」と言われても、ジムで限界まで自分を追い込む必要はありません。
むしろ、おしゃべりができるくらいの“ゆるさ”でやるのが正解です。
以下の中から、ご自身のライフスタイルに合うものを選んでみましょう。
- 早歩き:平地での歩行スピードを上げるだけ。人によってはこれだけで十分Zone 2に達します。
- 登り坂ウォーキング:自然と強度が上がるため、効率よくZone 2をキープできます。
- エアロバイク:室内で天候に左右されず、心拍数の調整がしやすいのがメリットです。
- ゆっくりした水泳:関節に負担をかけない、優れた全身運動です。
- 水泳ウォーク:関節に負担をかけない、優れた全身運動です。
- 軽いジョギング:周りの人と会話できるペースを維持し、スピードを上げすぎないのがコツです。
頻度と時間の目安
運動は「毎日やらなきゃ」と思うと挫折しがちですが、Zone 2なら最初は週2回、30分からでも十分に効果を発揮します。
習慣化のハードルが低いのも魅力ですね。
レベル別の目安は以下の通りです。
- 超初心者:週2回 × 各20~30分
- 標準的な初心者:週3回 × 各30~45分以上
- 慣れてきた方:週4回 × 各45分以上
慣れてしまった私はフルマラソンに挑戦することになりましたです(笑)
3. 正しくできている?3つの強度チェック法
「ちゃんとZone 2の強度になっているか不安……」という方のために、主観と数値の両面からアプローチできる3つのチェック法をご紹介します。
方法1:トークテスト(初心者向け)
特別な器具が一切いらない、最もおすすめの方法です。運動中の「呼吸の感じ」だけで判断します。
- 会話がスムーズにできる = Zone 1(負荷が軽すぎ)
- 会話はできるが、息が少し弾む = Zone 2(ベスト!)
- 息が切れて話せない = Zone 3以上(負荷が強すぎ)
ひとりで運動している場合は、好きな歌の1フレーズを声に出してみてください。
途中で息が切れて言えないなら強すぎ、余裕で歌えるなら弱すぎ、「ちょっと息は切れるけれど、ギリギリ噛まずに言える」くらいがZone 2の目安です。
方法2:心拍数(中〜上級者向け)
スマートウォッチなどの心拍計をお持ちの方は、数値でコントロールするのもスマートです。
計算目安:最大心拍数(220 − 年齢)の 60~70%
- 例:40歳の場合 → 最大心拍数180 → Zone 2の目安は 108〜126拍/分
※この計算式はあくまで一般的な基準です。もし「数値はZone 2なのに、体感としては楽すぎる・キツすぎる」と感じる場合は、前述のトークテストの感覚を優先して微調整してください。
方法3:RPE(主観的きつさ)
RPEとは、自分の主観的なキツさを10段階(1=全くキツくない、10=限界)で評価する方法です。
Zone 2に該当するRPEは「3〜4」あたり。
「楽ではないけれど、これならずっと続けられるな」
「テレビは観られるけれど、カラオケは無理だな」
と感じる、心地よい疲労感を目指しましょう。
4. 効果が出ているかを確認する指標
①体感できる変化:頭の冴えと日常のゆとり
データを見なくても、体と脳は確実に変わっていきます。
Zone 2によって脳の血流や「BDNF(脳の栄養)」が増えると、以下のような嬉しい変化を実感できるようになります。
- 朝の頭のモヤモヤが減り、スッキリ思考できる
- 物忘れが減り、タスクの切り替えがスムーズになる
- 駅の階段や坂道で、以前より息切れしなくなった
以下の「効果チェックリスト」に、思い当たるサインがないか時々振り返ってみてください。
【Zone 2 効果チェックリスト】
- [ ] 駅の階段や坂道で立ち止まることが減った
- [ ] 同じペースで歩いているのに、息があがりにくくなった
- [ ] 運動した翌日にだるさが残りにくくなった、呼吸の回復が早い
- [ ] 運動後に「集中力が上がった」「モヤモヤが晴れた」と感じる
- [ ] 睡眠の質が向上し、朝の目覚めがスッキリしている
- [ ] 体を動かすことが億劫じゃなくなってきた
② 客観的な指標:乳酸値(上級者向け)
Zone 2の本質は「体が脂肪を効率よく燃やせるギリギリの強度」です。本格的なガチ勢の方は、簡易乳酸測定器を使い、血中乳酸濃度が 1.7〜2.0 mmol/L の範囲に収まっているかを確認するのも一つの手です。
まとめ:これからの数ヶ月で目指したい中期目標
Zone 2トレーニングは、決して派手な運動ではありません。
しかし、コツコツと積み重ねることで、一生モノの元気な体と脳を育てる最強の「土台作り」になります。
まずは数ヶ月後に向けて、以下の目標をゆるやかに目指してみませんか?
- Zone 2の運動を、週合計150分(例:30分 × 週5回など)行う
- エアロバイクなどの出力を少しずつ向上させる
- 日常生活で「疲れにくさ」や「頭の冴え」を実感する
代謝を底上げし、百歳までハツラツと動ける体への第一歩を、ぜひ今日から踏み出してみてください。
有酸素持久力の土台(Zone 2)を押さえたところで、次回はもう一つの重要な鍵を握るの鍛え方へと駒を進めていきましょう。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げますm(_ _)m
▼参考書籍▼
Peter Attia & Bill Gifford(2023)Outlive: The Science and Art of Longevity



